耳元でキラリと輝き、横顔を素敵に彩ってくれるピアス。ファッションのワンポイントとして、あるいは自分だけのお守りとして、多くの人々を魅了し続けています。ピアスホールを開ける瞬間は少しドキドキするけれど、その先には新しい自分と出会える、無限のおしゃれの世界が広がっています。
この記事では、「これからピアスを開けたい!」「ピアスについてもっと詳しく知りたい!」と考えているあなたのために、ピアスの世界を隅から隅まで徹底的に解説します。特定の商品をおすすめしたり、ランキング形式で紹介したりすることは一切ありません。宣伝を完全に排除し、ただ純粋に「あなたのピアスライフがもっと豊かで安全なものになるように」という想いだけで、役立つ情報だけを詰め込みました。
ピアスを開ける前の準備から、日々の正しいケア方法、万が一のトラブル対処法、さらにはピアスの種類やコーディネートのコツまで。この記事を読めば、ピアスに関するあらゆる疑問や不安が解消されるはずです。さあ、一緒にピアスの奥深い世界の扉を開けてみましょう!
ピアスを開ける前に知っておきたいこと
ピアスホールを開けることは、体に小さな穴を開ける医療行為に近いものです。だからこそ、正しい知識を持って、安全な方法を選ぶことが何よりも大切。ここでは、ピアッシングの基本的な知識から、後悔しないためのファーストピアスの選び方まで、詳しく解説していきます。
ピアッシングの基礎知識
「ピアスを開けたい!」と思ったら、まず考えなければならないのが「どこで、どうやって開けるか」ということです。主な方法は、医療機関、セルフ(ピアッサー)、セルフ(ニードル)の3つ。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
どこで開ける?主なピアッシング方法
ピアッシングには、大きく分けて専門家にお願いする方法と、自分で行う方法があります。それぞれの特徴をみていきましょう。
- 皮膚科・美容外科などの医療機関
医師や看護師など、医療資格を持った人が専用の器具を使って施術してくれます。衛生管理が徹底されており、麻酔を使用できる場合もあるため、痛みが心配な方にもおすすめです。万が一トラブルが起きても、すぐに専門的な処置を受けられる安心感が最大のメリットです。
- ピアッサー(セルフ)
ピアスショップや雑貨店、通販などで手軽に購入できるピアッシング用の器具です。ホチキスのような要領で、一瞬で穴あけとファーストピアスの装着が完了します。手軽で安価なのが魅力ですが、位置がズレやすかったり、衛生管理が自己責任になったりするなどの注意点もあります。
- ニードル(セルフ)
ピアッシング専用の鋭利な針を使って、自分で穴を開ける方法です。ピアッサーと違い、組織を押し潰すのではなく切り開くように穴を開けるため、ホールが綺麗に仕上がりやすく、治りも早いと言われています。しかし、高度な技術が必要で、出血も伴うため、初心者にはハードルが高い方法です。
それぞれのメリット・デメリット
どの方法にも、良い点と注意すべき点があります。以下の表で比較検討してみましょう。
方法 | メリット | デメリット |
医療機関 | 衛生的で安全性が高い 麻酔が使える場合がある 正確な位置に開けてもらえる トラブル時のアフターケアが万全 |
費用が高い(数千円~数万円) 病院を探す手間がかかる 予約が必要な場合が多い |
ピアッサー(セルフ) | 費用が安い(千円~数千円) 手軽で、思い立った時にすぐできる 痛みが一瞬で終わる |
衛生管理は自己責任 位置がズレやすい、斜めに開きやすい トラブルが起きても自己対応になる 軟骨など硬い部位には不向きな場合がある |
ニードル(セルフ) | ホールが綺麗に仕上がる傾向がある ピアッサーより体への負担が少ないとされる 細かい位置調整が可能 |
高い技術と知識が必要 出血しやすい 痛みを感じる時間が長い 器具の入手や滅菌など、衛生管理が大変 |
安全性を最優先するなら、やはり医療機関で開けるのが最もおすすめです。特に、アレルギーが心配な方、軟骨などのデリケートな部位に開けたい方、自分で行うのが怖い方は、迷わず専門家を頼りましょう。
ファーストピアス選びの重要ポイント
ピアスホールを開けた後、ホールが完成するまでの数ヶ月間、ずっと着けっぱなしにするのが「ファーストピアス」です。このファーストピアス選びは、今後のピアスライフを左右すると言っても過言ではないほど重要。素材、形状、太さ、長さの4つのポイントをしっかり押さえましょう。
素材選びが一番大事!
できたばかりのピアスホールは、とてもデリケートな傷口です。そのため、金属アレルギーを起こしにくく、体に優しい素材を選ぶことが絶対条件になります。
- サージカルステンレス316L
医療用メスやハサミにも使われている素材で、アレルギー反応が非常に出にくいとされています。錆びにくく、傷つきにくいので、ファーストピアスとして最もポピュラーな素材の一つです。
- チタン
人工骨やインプラントなど、体内に埋め込む医療器具にも使われるほど安全性の高い金属です。サージカルステンレスよりもさらにアレルギーが起こりにくく、非常に軽いのが特徴。金属アレルギーが心配な方に特におすすめです。
- 18金(K18)やプラチナ(Pt900以上)
貴金属の中でも、金の含有量が多い18金(純金75%)や、純度の高いプラチナは、アレルギーの原因となる他の金属の含有量が少ないため、比較的アレルギーを起こしにくいとされています。ただし、金やプラチナ自体にアレルギーがある人もいるので注意が必要です。
逆に、ファーストピアスとして避けるべき素材は、ニッケル、クロム、コバルトなどのアレルギーを引き起こしやすい金属を多く含むものです。安価なアクセサリーに使われていることが多いので、デザインだけで選ばず、必ず素材を確認しましょう。
形状と太さ(ゲージ)
ファーストピアスは、ホールに負担をかけず、ケアがしやすいシンプルな形状が鉄則です。
- 形状
引っかかりにくい、シンプルな「ストレートバーベル」や「スタッドピアス」が最適です。おしゃれなフックタイプやチェーンタイプは、ホールが完成してからのお楽しみにとっておきましょう。
- 太さ(ゲージ)
ピアスの軸の太さは「ゲージ(G)」という単位で表され、数字が小さいほど太くなります。耳たぶの場合、ファッションピアスで一般的なのは20G~18Gですが、ファーストピアスは少し太めの16G(約1.2mm)や14G(約1.6mm)がおすすめです。ある程度の太さがあった方が、安定したしっかりとしたホールが完成しやすいと言われています。
- シャフトの長さ
シャフトとは、ピアスの軸の部分のこと。穴を開けた直後は耳が腫れることを想定して、有効軸長が8mm以上の、少し長めのものを選びましょう。シャフトが短いと、腫れた際にピアスが埋まってしまう危険性があります。
ピアスを開ける時期と注意点
いつでも開けられるピアスですが、いくつかの注意点を知っておくと、よりスムーズに安定させることができます。
開けるのに適した季節は?
ピアスホールが安定するまでは、雑菌の繁殖を抑え、清潔に保つことが大切です。そのため、汗をかきにくく、化膿のリスクが比較的低い秋から冬にかけての涼しい季節に開けるのが良いとされています。もちろん、夏に開けてはいけないわけではありません。夏に開ける場合は、汗をかいたらこまめにシャワーで洗い流すなど、より一層衛生面に気をつけるようにしましょう。
未成年者がピアスを開ける場合
未成年の方がピアスを開ける際には、いくつかクリアすべき点があります。医療機関で開ける場合、ほとんどのクリニックで保護者の同意書や同伴が求められます。また、学校によっては校則でピアスが禁止されていることもあります。アルバイト先でも同様です。後々のトラブルを避けるためにも、ピアスを開ける前に必ず保護者の方とよく相談し、学校やアルバイト先のルールを確認しておきましょう。
金属アレルギーについて
今までアクセサリーでかぶれたことがない人でも、ピアスホールという傷口に金属が直接触れ続けることで、突然金属アレルギーを発症してしまうことがあります。これを「感作(かんさ)」と言います。
金属アレルギーは、汗などで溶け出した金属イオンが体内のタンパク質と結合し、それを体が「異物」と判断してアレルギー反応を起こすことで発生します。主な症状は、かゆみ、赤み、腫れ、じゅくじゅくとした水ぶくれなどです。
もしアレルギーが心配な場合は、事前に皮膚科で「パッチテスト」を受けることで、自分がどの金属にアレルギーがあるかを調べることができます。安心してピアスを楽しむために、検討してみるのも良いでしょう。
ピアスホールの安定とケア方法
無事にピアスホールを開けられたら、次なるステップは「ホールの完成」です。焦らず、じっくりと。正しい知識に基づいた毎日の丁寧なケアが、美しく健康なピアスホールを育てる鍵となります。
ピアスホール完成までの道のり
ピアスホールは、開けたその日に完成するわけではありません。皮膚が再生し、ホールの内側に新しい皮膚が作られるまでには、ある程度の時間が必要です。この期間を「安定期間」と呼びます。
安定期間の目安
ホールが安定するまでの期間は、開けた部位や体質、ケアの方法によって大きく個人差があります。一般的な目安は以下の通りです。
- 耳たぶ(イヤーロブ)
約3ヶ月~半年
- 軟骨(ヘリックス、トラガスなど)
約半年~1年以上
特に軟骨は血流が少ないため、耳たぶに比べて安定するまでに長い時間が必要です。「もう痛くないから大丈夫」と油断してケアを怠ったり、頻繁にピアスを付け替えたりすると、トラブルの原因になります。ここに記載しているのはあくまで目安と考え、自分のホールの状態をよく観察しながら、焦らず気長に付き合っていきましょう。
安定したかどうかの見分け方
では、どうなったら「ホールが安定した」と言えるのでしょうか。いくつかのチェックポイントがあります。
- ピアスを動かしても痛みや違和感がない
- ホール周辺に赤みや腫れがない
- 膿やリンパ液などの分泌物がまったく出ない
- ピアスを外しても、次にスムーズに入れることができる
- ホール周辺を指で軽くつまんでみても、しこりのような硬さが感じられない
これらの条件をすべてクリアして、初めて「ホールが安定した」と言えます。セカンドピアスへの交換は、この状態になってから行いましょう。
毎日の正しいケア方法
ホールを清潔に保つためのケアは、安定期間中、毎日欠かさず行いましょう。ただし、「やりすぎ」は禁物。洗いすぎや消毒のしすぎは、かえってホールの負担になることもあります。
洗浄の基本
ケアの基本は「洗浄」です。難しいことはなく、毎日のお風呂のついでに行うのが最も手軽で効果的です。
- 清潔な手で準備
まず、ケアを始める前に、石鹸で手を綺麗に洗いましょう。
- しっかり泡立てる
薬用の低刺激石鹸やボディソープをよく泡立てます。固形石鹸の場合は、泡立てネットを使うとクリーミーな泡が簡単に作れます。
- 泡を乗せて優しく洗う
作った泡を、ピアスの軸やホールの前後に優しく乗せます。この時、ピアスを無理に動かしたり、回したりする必要はありません。泡を乗せて20~30秒ほど置くだけで、汚れは自然に浮き上がってきます。
- しっかり洗い流す
シャワーの弱い水圧で、泡が残らないように丁寧に洗い流します。特に、耳の裏側は洗い残しが多いので注意しましょう。
- 優しく水分を拭き取る
洗浄後は、清潔なタオルやティッシュ、綿棒などで、ホール周辺の水分を優しく押さえるように拭き取ります。湿ったまま放置すると、雑菌が繁殖する原因になります。
ケアの注意点
良かれと思ってやっていることが、実はホールにとって逆効果な場合もあります。以下の点に注意してください。
- 消毒液は使いすぎない
「消毒」と聞くと清潔なイメージがありますが、市販の消毒液(マキロンなど)を毎日使うのはおすすめできません。消毒液は刺激が強く、傷を治そうとしている細胞や、皮膚を守るために必要な常在菌まで殺してしまい、かえって治りを遅らせることがあります。消毒が必要なのは、化膿などのトラブルが起きた時だけ。基本は前述の洗浄で十分です。
- ピアスをむやみに動かさない・回さない
昔は「ピアスを回さないと皮膚と癒着する」などと言われていましたが、これは間違いです。できたばかりのデリケートなホールを頻繁に動かすと、せっかくできかけた新しい皮膚を傷つけてしまい、安定を遅らせる原因になります。洗浄の時以外は、できるだけ触らないようにしましょう。
- 清潔な手で触る
気になってつい触りたくなってしまいますが、手にはたくさんの雑菌が付いています。不潔な手でホールを触るのは、トラブルの元。触る前には必ず手を洗う習慣をつけましょう。
ファーストピアスからセカンドピアスへ
長い安定期間を経て、ようやく訪れるセカンドピアスへの交換の時。このステップも慎重に行いましょう。
セカンドピアスに交換するタイミング
前述の「安定したかどうかの見分け方」のチェック項目をすべてクリアしたら、いよいよセカンドピアスに交換できます。焦りは禁物です。少しでも不安な要素があるなら、もうしばらくファーストピアスのままで様子を見ましょう。安定したように見えても、まだホールの内側は薄い皮膚で覆われているだけです。ピアスの付け外しは、ホールにとって大きな負担になることを忘れないでください。
セカンドピアスの選び方
初めてのピアス交換で選ぶ「セカンドピアス」も、まだしばらくは着けっぱなしにすることが多いため、選び方はファーストピアスに準じます。
- 素材
ファーストピアスと同様に、サージカルステンレス316L、チタン、18金、プラチナなど、アレルギーの出にくい素材を選びましょう。ここでいきなり素材のグレードを下げると、急にアレルギーを発症することがあります。
- 形状
まだホールは完全に強くなったわけではないので、付け外しがしやすく、引っかかりにくいシンプルなデザインがおすすめです。スタッドピアスや小さなフープピアスなどが良いでしょう。重すぎるピアスや、複雑な形状のピアスは、ホールがもっと強くなってからのお楽しみです。
- 太さ(ゲージ)
ファーストピアスと同じゲージか、それより一つ細いゲージ(例:16G→18G)にしましょう。いきなり細すぎるピアスにすると、せっかく作ったホールが縮んでしまう可能性があります。
セカンドピアスに交換してからも、1ヶ月程度は着けっぱなしにして、ホールをさらに強く育てていくのが理想的です。
ピアストラブルと対処法
どんなに気をつけてケアをしていても、体調の変化や些細なきっかけで、ピアストラブルが起きてしまうことがあります。大切なのは、パニックにならず、正しい知識で冷静に対処すること。そして、「おかしいな」と思ったら、ためらわずに専門家である医療機関を頼ることです。
よくあるピアストラブル一覧
ここでは、代表的なピアストラブルの症状と原因について解説します。自分の症状がどれに当てはまるか、冷静に観察してみましょう。
化膿・炎症
- 原因
ピアスホールに雑菌が入り込み、感染を起こした状態です。不潔な手で触ったり、ケアを怠ったり、髪の毛や衣類が引っかかったりすることが主な原因です。
- 症状
ホール周辺が赤く腫れ、ズキズキとした痛みを伴います。悪化すると、黄色や緑色のドロッとした膿が出てきたり、熱を持ったりします。
金属アレルギー
- 原因
ピアスの素材に含まれる金属が、汗などによってイオン化して溶け出し、体の免疫システムが「異物」と認識して攻撃することで起こります。一度発症すると、その金属に対して生涯アレルギー反応を示すようになります。
- 症状
ピアスが直接触れている部分やその周辺に、強いかゆみ、赤み、湿疹、水ぶくれなどが現れます。じゅくじゅくとした分泌液が出ることもあります。
肉芽(にくが・にくげ)
- 原因
ピアスによる継続的な圧迫や摩擦、引っかかりなどの物理的な刺激が原因で、傷を治そうとする細胞が過剰に増殖してしまった状態です。特に、キャッチで強く締め付けすぎたり、重いピアスを着けたり、寝ている間に圧迫されたりすることでできやすくなります。
- 症状
ホール周辺に、赤やピンク色のぷっくりとした、ケロイド状のしこり(できもの)ができます。痛みやかゆみは無いことが多いですが、見た目が気になるトラブルです。
ピアスが埋まる・キャッチが埋まる
- 原因
ピアッシング直後の強い腫れに対して、ピアスのシャフト(軸)が短すぎることが主な原因です。また、キャッチをきつく締めすぎることでも起こります。
* 症状
ピアスのヘッド部分や、裏側のキャッチが皮膚の中に完全に埋まってしまい、外から見えなくなってしまいます。強い痛みを伴うことが多く、放置すると感染の原因にもなります。
トラブルが起きた時のNG行動
ホールに異常を感じた時、焦ってついやってしまいがちな行動が、症状をさらに悪化させることがあります。以下の行動は絶対にやめましょう。
- 自己判断でピアスを外す
これは最も危険なNG行動です。特に化膿している時にピアスを外してしまうと、ホールの入り口だけがすぐに塞がってしまい、内部に溜まった膿の出口がなくなってしまいます。その結果、皮膚の中で膿がどんどん溜まり、症状が悪化したり、膿の袋(嚢胞)ができてしまったりする危険性があります。
- むやみに触る・いじる
気になって何度も触ってしまうと、手についた雑菌がさらに付着したり、刺激で炎症が悪化したりします。触るのはケアの時だけにしましょう。
- 市販の軟膏を自己判断で塗る
症状に合わない薬を塗ると、かえって悪化することがあります。例えば、炎症を抑えるステロイド軟膏は、細菌感染を助長してしまう可能性があります。薬の使用は、必ず医師の診断と指示に従いましょう。
どうしよう?と思ったらすぐに医療機関へ
ピアストラブルの鉄則は「早期発見、早期対応」そして「専門家への相談」です。「これくらいなら大丈夫かな?」と様子を見ているうちに、症状がどんどん悪化してしまうケースは少なくありません。
赤み、腫れ、痛み、かゆみ、膿、しこりなど、少しでも「いつもと違う」「おかしいな」と感じたら、ためらわずにすぐに皮膚科、またはピアスを開けた医療機関を受診してください。
病院では、症状に合わせて抗生物質の飲み薬や塗り薬が処方されたり、アレルギーの原因を特定したり、肉芽の治療(液体窒素やステロイド注射など)を行ったりしてくれます。ピアスが埋まってしまった場合も、局所麻酔をして切開し、取り出してもらうことができます。
自己判断で悪化させてしまう前に、プロの力を借りることが、あなたの大切なピアスホールを守る一番の近道です。
もっと楽しむ!ピアスの種類とコーディネート
ピアスホールが無事に安定したら、いよいよ本格的なピアス選びの始まりです。ピアスの世界は、知れば知るほど奥が深いもの。ここでは、様々なピアスの種類や素材、人気の部位、そしておしゃれに見せるコーディネートのコツをご紹介します。
ピアスの種類を知ろう(形状別)
ピアスには様々な形状があり、それぞれに名前と特徴があります。代表的なものを覚えて、自分のなりたいイメージに合うピアスを見つけましょう。
- スタッドピアス
ポスト(軸)が真っ直ぐで、耳の後ろをキャッチで留める、最もベーシックなタイプです。「キャッチピアス」とも呼ばれます。デザインが豊富で、一粒石のシンプルなものから大ぶりのモチーフまで様々。オフィスからプライベートまで、どんなシーンでも活躍する万能選手です。
- フックピアス
釣り針(フィッシュフック)のような形状のフックを、ピアスホールに引っ掛けて装着するタイプです。キャッチがないものが多く、手軽に着け外しできます。耳元でゆらゆらと揺れるデザインが多く、女性らしくエレガントな印象を与えてくれます。紛失が心配な場合は、シリコン製のキャッチを付けると安心です。
- フープピアス
リング(輪っか)状のデザインのピアスです。シンプルながら存在感があり、サイズや太さによって印象が大きく変わります。小ぶりなものは知的で上品に、大ぶりなものは華やかでカジュアルな雰囲気になります。性別を問わず人気が高いデザインです。
- チェーンピアス(アメリカンピアス)
細いチェーンの途中にポストが付いており、そのポストをホールに通して装着するタイプです。キャッチがなく、チェーンの繊細な輝きと揺れ感が魅力。チェーンを垂らす長さを変えることで、見せ方をアレンジできるのも楽しいポイントです。
- キャプティブビーズリング(CBR)
ボディピアスでよく見られる、リングの一部がボールで留められた形状のピアスです。ボール部分がキャッチの役割を果たします。着脱には専用の器具(オープンプライヤー)が必要な場合もありますが、一度着ければ外れにくく、クールで個性的な印象になります。
- ラブレットスタッド
片側がフラットなディスク(円盤)状になっているスタッドピアスです。こちらもボディピアスで人気の形状。耳の裏側や口の中など、平らな面が当たることで引っかかりにくくなるため、トラガスやリップ(唇)ピアスによく使われます。
ピアスの素材を知ろう
デザインだけでなく、素材の特性を知ることもピアス選びの重要なポイントです。アレルギーへの配慮はもちろん、素材ごとの質感や色味の違いを楽しみましょう。
金属アレルギー対応素材
ファーストピアスやセカンドピアスだけでなく、日常使いでも安心して使える、アレルギーを起こしにくい素材です。
- サージカルステンレス316L
前述の通り、医療現場でも使用される安全性の高い素材です。水や汗に強く錆びにくいため、着けっぱなしにすることも可能。比較的安価で手に入るのも魅力です。
- チタン
非常に軽く、金属アレルギーのリスクが極めて低い素材です。丈夫で傷つきにくく、鮮やかなカラーに発色させることができる「陽極酸化」という技術も特徴的です。
- 樹脂(アクリル・バイオプラストなど)
非金属なので、金属アレルギーの心配が全くありません。非常に軽く、透明なものも多いので、ピアスホールを目立たせたくない時(学校や職場、ホールの休息期間など)に使う「リテーナー」としても活躍します。
貴金属
フォーマルなシーンや、特別な贈り物としても選ばれる高級感のある素材です。
- ゴールド(金)
美しい輝きが魅力の貴金属。純度によってK24(純金)、K18(18金)、K14(14金)、K10(10金)などと表記されます。数字が大きいほど金の含有率が高く、アレルギーは起こしにくいですが、柔らかく傷つきやすいです。K10などは硬くて丈夫ですが、金以外の金属(割金)の割合が増えるため、アレルギーのリスクは少し高まります。
- プラチナ
白く上品な輝きを持つ希少な金属。「Pt」と表記され、Pt950、Pt900などが一般的です。化学的に非常に安定しており、変色や変質がほとんどなく、アレルギーも起こしにくいとされています。その希少性と耐久性から、婚約指輪などにも使われます。
- シルバー
加工しやすく、様々なデザインが楽しめる人気の素材。「SV925(スターリングシルバー)」が一般的です。独特の風合いがありますが、空気中の硫黄成分と反応して黒ずみやすいという特徴も。専用のクロスで磨くなど、こまめなお手入れが必要です。
開ける位置で印象が変わる!人気のピアッシング部位
ピアスは開ける場所によって名前があり、その日の気分やファッションに合わせてコーディネートの幅を広げることができます。
耳たぶ(イヤーロブ)
最もスタンダードで、ピアッシング初心者の方が最初に開けることが多い部位です。痛みも比較的少なく、安定しやすいのが特徴。複数個開けて、重ね付けを楽しむのも人気です。
軟骨ピアス
耳の硬い部分に開けるピアスを総称して「軟骨ピアス」と呼びます。耳たぶよりも個性を出しやすく、上級者のおしゃれとして人気ですが、安定に時間がかかり、トラブルも起きやすいので慎重なケアが必要です。
- ヘリックス
耳の上部の縁(ふち)の部分。リングやバーベルなど、様々なデザインが楽しめ、軟骨ピアスの中では最もポピュラーな部位です。
- トラガス
顔側の、耳の穴の前にある三角形の軟骨部分。小さめのスタッドピアスを着けると、さりげないアクセントになって可愛らしいと人気です。ただし、イヤホンがしにくくなる場合があります。
- インナーコンク/アウターコンク
耳の内側の、広くて平らな部分。インナーコンクは耳の穴に近い方、アウターコンクは耳の縁に近い方を指します。存在感のある大ぶりのピアスも映える部位です。
- ロック
耳の上部内側にある、山折れになっている硬い軟骨部分。フープピアスやカーブしたバーベルを着けるのが定番で、通好みの部位と言えます。
- ダイス
トラガスのすぐ上、耳の最も内側にある軟骨。こちらもフープピアスが人気で、ハート型のリングなども可愛く収まります。開けられる人が限られる、少し特殊な部位です。
- インダストリアル
耳の軟骨の2か所の穴を、1本の長いストレートバーベルで繋ぐ、非常にインパクトのあるスタイルです。正確な角度で2つの穴を開ける高度な技術が必要です。
ピアスコーディネートのコツ
複数のピアスホールが開いているなら、ぜひコーディネートを楽しんでみましょう。ちょっとしたコツで、ぐっとおしゃれな印象になります。
- テイストを揃える
全体の統一感を出すのが一番簡単なテクニックです。例えば、「地金の色をゴールド系で統一する」「華奢で繊細なデザインでまとめる」「パール系の素材で揃える」など、テーマを一つ決めるとバランスが取りやすくなります。
- アシンメトリー(左右非対称)を楽しむ
あえて左右でデザインや数を変えることで、こなれた上級者の雰囲気を演出できます。片耳にだけピアスを複数着けたり、右はスタッド、左はフープといったように、左右で全く違うデザインを楽しんだりするのも素敵です。
- モチーフやカラーで遊ぶ
その日のファッションに合わせて、ピアスの色やモチーフを選ぶのも楽しいです。ブルーの服に合わせてサファイアのピアスを、星柄のTシャツに合わせて星モチーフのピアスを、といったようにリンクさせると、トータルコーディネートが完成します。
- 重ね付けのバランス
複数のピアスを着ける時は、どこか一つに「主役」を決めましょう。例えば、一番下のイヤーロブに少し大ぶりのフープピアスを着けたら、上のホールは小ぶりな一粒石のスタッドにするなど、強弱をつけるとバランスが良く見えます。
ピアスの保管方法とメンテナンス
お気に入りのピアスは、いつまでも綺麗な状態で使いたいものですよね。そのためには、日々のちょっとしたお手入れと、正しい保管方法が欠かせません。大切なピアスを長持ちさせるための秘訣をご紹介します。
大切なピアスを長持ちさせる保管方法
外したピアスを、そのへんにポイっと置いていませんか? 紛失や劣化の原因になるので、今日からやめましょう。専用の保管場所を作るのがおすすめです。
- 傷を防ぐ
ピアス同士がごちゃ混ぜに接触すると、お互いにぶつかり合って表面に細かい傷がついてしまいます。特に柔らかい宝石やパールがついているものは注意が必要です。ピアススタンドにかけたり、一つひとつ仕切りのあるジュエリーボックスに収納したりするのが理想的です。
- 変色を防ぐ
特にシルバー製品の黒ずみや、メッキ製品の劣化は、空気や湿気に触れることで進行します。長期間使わないピアスは、柔らかい布で汚れを拭き取った後、チャック付きの小さなビニール袋に入れて保管すると、空気に触れにくくなり変色を遅らせることができます。
- 紛失を防ぐ
「片方だけない!」という悲劇は、ピアスの「あるある」です。特に小さなスタッドピアスやキャッチは紛失しやすいもの。外したら必ず同じ場所(定位置)に保管する、という習慣をつけることが何よりの防止策です。
素材別お手入れ方法
ピアスの素材によって、適切なお手入れ方法は異なります。間違った方法でケアすると、かえって傷つけたり変色させたりすることもあるので注意しましょう。
- ゴールド・プラチナ
普段のお手入れは、着用後にメガネ拭きのような柔らかい布で、皮脂や汗を優しく拭き取るだけで十分です。汚れが気になってきたら、ぬるま湯に少量の中性洗剤(食器用洗剤でOK)を溶かし、その中で優しく振り洗いします。その後、真水でよくすすぎ、柔らかい布で水分を拭き取って完全に乾かしてください。
- シルバー
黒ずみが気になったら、市販のシルバー専用のクロス(研磨剤が含まれている布)や、液体クリーナーを使用します。ただし、いぶし加工が施されているデザインの場合、磨きすぎると風合いが損なわれることがあるので注意が必要です。宝石がついている場合は、クリーナー液が石に影響を与えないか確認してから使いましょう。
- サージカルステンレス・チタン
非常に錆びにくく変色しにくい素材なので、特別なお手入れはほとんど必要ありません。汚れた場合は、柔らかい布で拭くか、水洗いする程度で大丈夫です。
- 宝石やパールがついている場合
宝石や有機物(パール、サンゴ、琥珀など)は非常にデリケートです。特にパールやエメラルド、オパールなどは、水や洗剤、熱、衝撃に弱い性質があります。お手入れは基本的に柔らかい布で乾拭きする程度にとどめ、洗浄する場合はその宝石に対応した方法を調べてから行いましょう。
ピアスに関するQ&A
ここでは、ピアスに関してよく寄せられる素朴な疑問にお答えします。知っておくと、いざという時に役立つかもしれません。
- Q. ピアスを開けると運命が変わるって本当?
A. ピアスを開けることで運気が上がったり、運命が変わったりするという科学的な根拠は残念ながらありません。これは一種のジンクスや都市伝説のようなものです。しかし、ピアスを開けるという行為が、自分を変えたいという気持ちの表れであったり、新しいおしゃれを楽しむことで気分が前向きになったりすることは十分に考えられます。そういう意味では、自分の気持ちに良い変化をもたらし、結果的に行動が変わるきっかけになる「おまじない」のようなものかもしれませんね。
- Q. MRI検査を受ける時、ピアスはどうすればいい?
A. MRIは強力な磁力を使う検査のため、金属製品を身に着けていると、機械に引き寄せられて怪我をしたり、火傷をしたり、検査画像が乱れたりする危険性があります。そのため、検査当日はすべての金属製ピアスを必ず外す必要があります。まだ安定していないピアスホールがある場合は、勝手に外すと塞がってしまうため、事前に検査を受ける病院に相談してください。その際、金属ではない「ガラス製」や「シリコン製」のリテーナー(透明ピアス)への付け替えを指示されることが一般的です。事前に準備しておくとスムーズです。
- Q. 温泉やプールに入る時は?
A. まだ安定していないピアスホールは、小さな傷口と同じです。不特定多数の人が利用する温泉やプールには、様々な雑菌がいる可能性があるため、感染症のリスクを考えると、ホールが完全に安定するまでは入るのを避けるのが最も安全です。ホールが安定した後でも、温泉の泉質(特に硫黄成分)によっては、シルバーや金、プラチナなどの貴金属が化学反応を起こして変色してしまうことがあります。大切なピアスは外して入るのが無難です。
- Q. ピアスの穴を塞ぎたい時はどうする?
A. ホールを塞ぎたい場合は、単純にピアスを外してそのまま放置しておけばOKです。開けてからの期間が短いほど、早く綺麗に塞がりやすいです。ただし、長期間ピアスを着けていたホールは、完全に元の皮膚に戻るわけではなく、小さなくぼみやしこりのような跡が残ることがほとんどです。もし、この跡が気になり、より綺麗に治したいと考える場合は、形成外科や美容皮膚科で「ピアスホール閉鎖手術」という処置を受けることも可能です。これは保険適用外の自由診療になることが多いです。
- Q. 就職活動(就活)でのピアスはどうする?
A. これは多くの学生さんが悩む問題ですね。業界や企業文化、職種によって許容度は大きく異なりますが、金融、公務員、接客業など、比較的堅いとされる業界では、男女問わずピアスは外すのが一般的で、面接時だけでも外しておくのが無難とされています。IT業界やアパレル、クリエイティブ系の職種では比較的寛容な場合も多いです。一番良いのは、その企業のOB・OG訪問などで、社内の雰囲気を直接確認することです。判断に迷う場合は、面接の時だけ外すか、目立たない透明なリテーナーに付け替えておくといった配慮をすると良いでしょう。
まとめ
ピアスの世界、楽しんでいただけたでしょうか?
ピアスを開ける前の準備から、日々のケア、トラブル対処、そしてコーディネートの楽しみ方まで、幅広くご紹介してきました。たくさんの情報がありましたが、一番大切なことは、「正しい知識を持って、安全に楽しむこと」です。
ピアスは、あなたの個性を表現し、毎日のおしゃれを何倍も楽しくしてくれる素晴らしいアイテムです。しかし、自分の体の一部に手を入れる行為であることも忘れてはいけません。デリケートなピアスホールを、愛情を持って丁寧にケアしてあげてください。
そうすれば、きっとピアスはあなたの最高のパートナーになってくれるはずです。この記事が、あなたのこれからのピアスライフを、より豊かで、きらきらと輝くものにするための一助となれたなら、これ以上に嬉しいことはありません。さあ、あなただけのスタイルを見つけて、ピアスの世界を存分に楽しんでくださいね!